オペレーショナルエクセレンスを正しく実現

Getting operational excellence right: Asset performance, people and HSE management are key.

鍵を握るのは資産のパフォーマンス、人、HSEの管理

経済学者は事業運営のミニマックス原理が幻想であることを知っています。最小限の時間と努力で最大限の成果を実現することはできません。これはオペレーショナルエクセレンスにも当てはまります。多くの企業が製造時間の損失や標準以下のアウトプット、機器の故障、安全に関わるインシデント、環境排出量の削減などによって生じるコストを抑えながら、なおかつファーストパスで最高の品質を確保できる製造を熱望していますが、現実は目標とは遠くかけ離れています。その代わりに、組織が作業人員の知識と経験に依存して不十分な設計や保全手順のまずさに対する「ギャップを埋めよう」とすることも少なくありません。このようなアプローチでは、作業人員の重大な変化がもたらす深刻な損失から、結果を目標に照らして追跡し、進捗状況を監視できる適正な枠組を確保する適切で卓越した作業管理システムの欠如まで、多岐にわたる問題が発生することになります。

オペレーショナルエクセレンスを実現するには、マネジメント層レベルでの取り組みが必要なだけではありません。当たり前のように思われるかもしれませんが、やはり企業の意思決定者がオペレーショナルエクセレンスの実現と維持に投資するためのビジネスケースを作成できなければなりません。

これは難しいことではありません。精度や品質管理を向上させ、より一貫性のあるアウトプットの確保を実現できる生産方法の改善が進む中で、利害関係者からも市場からも同様に、より優れた結果が求められています。利害関係者からは、突出した財務業績と一層厳しいリスクへの注意が期待されるようになりました。より厳しい環境への地理学的な拡大は好機を生み出すものではありますが、同時に管理のための新たなアプローチが必要になります。また、多くの企業は労働力を求める競争の激化に直面し、労働力の高齢化や経験と知識のある被雇用者の不足に対処していかなければなりません。企業体に対する期待と課題は明らかに高まっています。企業が自らの資源、すなわち資産と人から最大限のメリットを確保できるような構造改善に取り組むには、十分な理由があるのです。

資産パフォーマンスの管理

すべての製造企業は、資産に依存して職務を遂行します。これは、有形資産、すなわち商品の製造や精緻化、抽出や探索、輸送に用いられる機械類を意味しています。効率的に作業を行うためには、企業はこれらの資産を効率的に管理することにより、これらが適正に、かつ最高の性能で機能するように徹底しなければなりません。

資産の管理という点に関するオペレーショナルエクセレンスのビジネスケースを構築するには、企業のリーダー達が既存の資産の中に存在する改善のための機会を理解しなければなりません。業務における「完全な状態とのギャップ」や「実現可能なレベルとのギャップ」の分析結果を活用して、潜在的な業務上、財務上の改善機会を算出することが可能です。多様な業界の国際企業と連携してきた中で、私たちデュポンサステナブルソリューション(DSS)は、変革のためのオペレーショナルエクセレンスプログラムこそ、現在の改善率よりも3倍から4倍大きい財務上のメリットを可能にできることを実証しました。

人への投資

このような変化を実現するには、企業を構成する人々、すなわち上級管理職から作業現場まで、あらゆる人々の取り組みが必要です。オペレーショナルエクセレンスにおける最も重要な構成要素の一つは、施設を運営し、既定の基準やプロトコル、手順への職務規律を維持する人々です。このことはすなわち、企業が適材を適所に雇用しなければならないことだけを意味しているのではありません。人材に対する適正な研修や啓発を実施しなければならないのです。

適材の適所への配置を徹底するのは、オペレーショナルエクセレンスを目指すすべての企業にとって極めて重要なことです。実際に、オペレーショナルエクセレンスを実現するベストの方法は、チームの観点からアプローチし、これを「実感できる」リーダーシップを実際に発揮できる献身的なリーダーがサポートするというものです。人への投資は正規の研修という形で行われますが、さらに重要なのは、職務についている個人やチームを啓発するための時間に投資することです。DSSでの私たちの経験は、人や文化への投資は業務や技術スキルへの投資と同様に、あるいはそれ以上のメリットをもたらすことを物語っています。

人や環境の安全性を維持

次のステップでは、人や施設、生産、環境に危害を及ぼすようなインシデントの発生を徹底的に防止します。資産や人を適正に守れない投資に何の意味があるでしょうか。

HSEの観点から言うと、オペレーショナルエクセレンスを実現することで、企業は壊滅的な事象の可能性を低減できるプロセス安全マネジメントプログラムを構築し、リスクを回避することができます。ただし、プロセス安全に関する知識や管理のプロセスは少数の個人の責任であり、指定した従業員のみに安全性を担当させるのがベストだと信じている企業も数多く存在します。残念ながら、このような考え方は、インシデントを予測し、実際に発生した時に対処するための知識や研修経験を持つ個人の数を限定してしまうため、組織へのリスクを増大させてしまいます。これらの知識や経験こそ、重大な問題を防止するのに役立つものなのです。

従業員のケガや資産の破損、生産性の損失などといった安全上のインシデントから、いくつかの影響が生じることになります。これらはいずれもオペレーショナルエクセレンスにも影響し、組織にとってさらにコストが増加してしまいます。このような理由から、安全に関する事業上のメリットについて話し合う時には、コスト回避に重点が置かれることも少なくありません。作業場におけるすべての安全インシデントは、直接的(医療費など)と間接的(モラルの損失、機器の破損、作業時間の損失など)の両方のコスト発生を招くことは組織も把握しています。多くの企業が認識していないのは、安全パフォーマンスが向上すれば、事業業績も向上するという点です。安全に始まり、再現され、組織の他の領域に適用される原則と構造を確立した時に、組織はより広い範囲でのビジネスエクセレンスを実現することになるのです。

オペレーショナルエクセレンスでは、これら個別のピースを一つ一つ合わせ、単独の管理システムを構築します。そうすることによって、企業は業務効率を高め、固定費の重大な削減を実現できるベストチャンスを手に入れることになるのです。

オペレーショナルエクセレンスの達成は、単に「チェックリストをチェックする」だけのものではありません。真のオペレーショナルエクセレンスとは、持続可能な改善という心構えに立脚しています。改善を実現するとともに、学習したことを応用する能力を事業運用モデルに組み込んでいかなければなりません。また、持続的な改善によって、従業員の継続的な関わりを実現することも可能です。いかなる組織も成長と改善、学びを止めることはなく、従業員は毎日のこのプロセスを構成する一部なのです。