Nomex® で電気アークの熱から防護

電気アークで発生する熱は危険性が高く、作業員を防護する必要があります。
電気アークの熱的影響から守る個人用防護装備 (PPE) は、IEC 61482-2 規格の対象です。

電気アークについて
電気アークとは、導体間の高電流の連続的な放電で、まぶしい閃光と強列な熱を発します。 アーク ブラストの強烈な熱によって重度の熱傷を負うおそれがあり、(生死にかかわる) 極めて深刻な危険を伴います。 電気アークの発生時には、青白い光や強い圧力波、騒音や有毒ガスなど、他の深刻な危険が生じることもあります。

DuPont™ Arc-Guide
DuPont では、ユーザーが欧州の法規制の枠内でアーク フラッシュの危険性を評価して管理できるように、DuPont™ Arc-Guide というウェブベースのサービスを開発しています。 これは、Prediction (予測)、Prevention (予防)、Protection (防護)、Publishing (公開) という「4 つの P」の点からリスク評価を行う欧州独自のアプローチに基づきます。

DuPont™ Arc-Guide では、ユーザーが危険のレベルを予測し、予防措置を講じたうえで、適切な個人用防護装備を選択できるようにします。 さらに、リスク評価の結果の公開と、安全な業務遂行に関する作業員への訓練についての指針がユーザーに示されます。

DuPont™ Arc-Guideの「予測」セクションでは、ユーザーが、通電装置から一定の距離または通電装置付近で作業する作業員がさらされる可能性のある入射エネルギー (表面積あたりのエネルギー単位) を算定できます。

適切な防護を実施するためには、衣服のアーク評定が潜在的な入射熱エネルギーの算定値よりも高くなければなりません。

防護服のアーク評定の定量化

1. アーク評定は通常、IEC/EN 61482-1-1/Method A に従って判定されたアーク熱性能値 (ATPV) で定量化されます。ATPV は、着用者が第 2 度熱傷を負うまでに生地が耐えうる最大入射熱エネルギー (表面積あたりのエネルギー単位、kJ/m² または cal/cm²) で表されます。

破断閾値エネルギー (EBT) は、これとは異なる生地特性で、 衣服が破断するまでの生地の最大入射エネルギーばく露値を表します。 破断によって生地に穴が空くと、高熱や火炎が侵入してきます。

服地のアーク評定は、生地の ATVP または EBT (EBT が ATPV より低い場合、または ATPV が不明の場合) と同値です。

IEC/EN 61482-1-2/Method B に準拠した衣服の構成生地のアーク評定よりもわずかに高い入射エネルギーにさらされるときに、IEC 61482-2 の視覚的な性能基準を満たしている場合、衣服のアーク評定は構成生地のアーク評定と同値です。

2. IEC/EN 61482-1-2 に準拠したボックス試験は、電気アークの熱的影響に対する衣服の防護性能を測定する別の方法です。 この試験では、特定の方法で電極が配列された特殊なボックスに密閉されて操作される電気アークに生地がさらされます。

試験状況には 2 つのクラスがあり、 クラス 1 では、密閉空間でアークの継続時間を 0.5 秒に制限する装置によって保護された 4 kA の短絡電流に対する一般的なばく露状況をシミュレーションし、クラス 2 では電流が 7 kA になります。

生地がボックス試験のクラス 1 またはクラス 2 に合格するための主要基準は、クラス 1 またはクラス 2 の試験中に生地から伝わる熱によって第 2 度熱傷が生じないことです。

衣服試験にさらされるときに、衣服が IEC 61482-2 の視覚性能基準を満たしている場合、衣服のアーク評定はその構成生地のクラスと同値です。 試験は、IEC/EN 61482-1-2 に従って衣服の構成生地に該当するクラスの試験状況で行われる必要があります。

電気アーク防護服は、次のいずれかの要求事項を満たした場合に IEC 61482-2 の認定を受けることができます。

  • 衣服のアーク評定が 4 cal/ cm² 以上である。
  • 衣服がアーク ボックス試験の少なくともクラス 1 に合格した。

DuPont™ Arc-Man®

DuPont が開発したこの試験装置は、IEC/EN 61482-1-1 に準拠するオープン電気アーク入射をシミュレーションして、防護用の生地および衣服の ATPV 値および EBT 値を測定します。 生地や衣服に最大 70 cal/cm² の入射エネルギーをばく露できます。

Arc-Man® では、パネル上の試験生地を対象にその構造の ATPV (cal/cm² 単位) を測定して、エンド ユーザーのリスク評価で算定された入射エネルギーと比較できます。 Arc-Man® ではまた、胴体上で補足的な衣服試験を実施して、衣服の設計や製造の完全性による効果を示し、衣服の実用性 (閉塞方式、ポケットなど) を予測することもできます。

DuPont™ Arc-Man® 試験施設では、IEC 61482-1-2 (EN 61482-1-2 と同じ) に準拠したボックス試験も実施できます。

電気アーク試験の結果および推奨事項

  • 生地のアーク評定は、重量だけでなく、繊維や織糸の構造や組み合わせなど他の特性にも大きく左右されます。
  • DuPont では、多層式のアーク防護服のすべての層を、繊維本来の難燃性を備えた素材で製造することをお勧めします。
  • 下着が不適切な場合着火や溶融のおそれがあり、防護性能が劣化することや、電気アーク事故の被害が拡大することがあります。